債務整理 へ戻る。
(2) 控訴人は,被控訴人ファーストリテイリングは,平成17年4月28日
の更新オプション権の行使により,平成17年9月30日に最低保証料不払
いが確定するまでの約5か月間,同被控訴人の「2006年(平成18年)
独占販売のための独占準備権」を享受しており,平成17年9月30日の最
低保証料支払期限の前に,既に反対債務の履行を受けているというべきであ
るから,被控訴人ファーストリテイリングらの平成17年9月30日の平成
18年(2006年)分最低保証料の支払義務は,そもそも,被控訴人ファ
ーストリテイリングらの先履行義務でなく,不安の抗弁は成立しないと主張
する。
しかし,控訴人の指摘する「2006年(平成18年)独占販売のための
独占準備権」は,そもそも本件サブライセンス契約に規定されていない事項
であり,たとえ被控訴人ファーストリテイリングがかかる利益を事実上享受
することがあり得るとしても,これはいわば事実上の反射的利益に過ぎない
というべきであって,本件サブライセンス契約により生じる契約上の権利と
いうことはできない。
そうすると,本件サブライセンス契約上,平成18年
1月1日からの販売権に対し,平成17年9月30日が支払期限である平成
18年分最低保証料の支払義務が被控訴人ファーストリテイリングの先履行
義務になっていることは明らかであるから不安の抗弁権が成立しないという
ことはできない。
以上によれば,控訴人の上記主張は採用することができない。
5 第3事件について
(1) 主位的請求につき
以上の1〜4の説示に照らせば,控訴人の第1次解除は無効であり,また,
被控訴人ファーストリテイリングにつきいわゆる不安の抗弁権が成立するた
めミニマムロイヤリティ1億円の支払義務不履行は違法性を欠くというべき
であるから,控訴人の第2次解除も理由がない。
そうすると,本件サブライセンス契約は継続していると考えられるから,
被控訴人ファーストリテイリングが平成17年4月28日に本件サブライセ
ンス契約につき更新の意思表示をして平成18年1月1日以降も商品の販売
を継続する旨宣言し,かつ,同被控訴人が本件サブライセンス契約の被許諾
者の地位にあることを仮に定める旨の仮処分命令の発令を得たとしても,本
件サブライセンス契約の一方当事者の行動としてこれを違法ということはで
きず,控訴人が,平成18年1月1日以降に他者とライセンス契約を締結す
るための営業活動を行うことが不可能になり損害を受けたということはでき
ない。
したがって,控訴人の主位的請求に理由はない。
(2) 予備的請求につき
ア上記(1)に説示したように,被控訴人ファーストリテイリングにつきい
わゆる不安の抗弁権が成立するから,被控訴人らは,控訴人によるミニマ
ムロイヤリティ1億円の支払請求については,これを拒むことができると
いうべきである。
イしかし,証拠(甲A154)及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人ファ
ーストリテイリングを吸収分割によりその権利義務を承継した被控訴人ユ
ニクロは,平成18年1月1日から同年5月7日までの間に本件プロパテ
ィを付した商品を販売したこと,その上代販売金額合計は650万542
1円であること,これに本件サブライセンス契約3条に規定される3%を
乗じると19万5162円(小数点以下切り捨て)となること,がそれぞ
れ認められる。
そして本件サブライセンス契約3条は,その趣旨に鑑みれば,このよう
な場合も,最低限,実際に販売した分については実施料率3%の割合の実
施料が請求できる旨定めたものと解される。
そうすると,上記のように同
被控訴人が実際に販売を行った以上,控訴人は,本件サブライセンス契約
3条に基づきこれに対応する分の実施料を請求できるというべきであり,
また,実施料率3%の割合の実施料の支払期限を翌月20日と定めている
趣旨に照らせば,平成18年5月7日までの間に行われた上記販売の実施
料請求権は,少なくともその翌月20日である平成18年6月20日の経
過により遅滞に陥っているというべきである。
以上によれば,控訴人は被控訴人らに対し,実施料(ロイヤリティ)1
9万5162円及びこれに対する平成18年6月21日から支払済みまで
民法所定の年5分の割合による遅延損害金を請求できるというべきである。
ウ被控訴人らは,本件マスターライセンス契約が終了した後である平成1
8年1月1日以降は,控訴人には損害が発生していないと主張する。
しかし,上記2(1)イに説示したように,控訴人が平成17年12月3
1日にマスターライセンサーの地位を喪失しているとしても,本件サブラ
イセンス契約が当然に終了するものとはいえないから(当然終了するとの
明示の規定もない,控訴人) は被控訴人ファーストリテイリング及び被控
訴人ユニクロに対し,本件サブライセンスに基づき上記実施料の支払を求
めることができるというべきである。
したがって,被控訴人らの上記主張は採用することができない。